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神様、仏様、お米様?!(弁護士 髙見澤 周吾)

2025年5月1日

コラム

お米の価格が急騰!


現在もお米の値段の高止まりが継続しております。

我が日本の国食とも言えるご飯(お米)の値段が高いことで、各家計にとって大きな負担となっているかもしれません。


お米の値段の高止まりの原因には、生産コストの上昇、過去の猛暑によるお米の生産量の減少、インバウンド需要の増加、健康志向の高まりから家庭での米消費増加など様々な理由が挙げられており、それらの原因が複雑に絡み合っていると言われています。


更に、日本の農業人口は減少し、農家は高齢化の一途を辿っているとされています。

日本の農家が更に減少していけば、日本人の米の需要は輸入米に頼らざるをえなくなり、とりわけ国産米の値段が更に上昇していくかもしれません。


我が家のある地域は比較的農家が多いのですが、農業というものは天候に左右されることが多く、また体力勝負の仕事でもあるため、代々継続していくのが難しく、後継者不足という問題に悩む農家は多いようです。

農地は勝手に手放せない


そんな中、後継者不足に悩んで、田畑を荒らさないよう日々管理することができないことから、やむなく農地を手放そうとお考えになる方がいらっしゃるかもしれません。

この点について、今後農業ができないので誰かに売ろうと思って、勝手に農地を売買することはできません。


農地法3条第1項は、「農地又は採草放牧地について所有権を移転…する場合には、政令で定めるところにより、当事者が農業委員会の許可を受けなければならない。」と規定しており、農地を農地として売買する場合には、原則として農業委員会の許可を得なければならないことになっています。


また、荒れ地になってしまった田畑を有効活用するために、自宅を建築しようと勝手に農地を宅地することもできません。


農地法4条第1項は、「農地を農地以外のものにする者は、都道府県知事…の許可を受けなければならない。」と規定しており、農地を農地以外のものとすること、いわゆる農地転用の際には都道府県知事等の許可が必要となるのです。


更に、宅地を欲しがっている人に対し、手続きを経ないで自分の農地を宅地に変えた上で、宅地として売買することもできません。


農地法5条1項は「農地を農地以外のものにするため…移転する場合には、当事者が都道府県知事等の許可を受けなければならない。」と規定しており、農地転用の上で売買などの権利変動を伴う場合には都道府県知事等の許可が必要となります。

もっとも、農地法5条1項6号において、特に市街化区域内にある農地又は採草放牧地につき、転用の上で売買などをする場合には、農業委員会への届出で足りるとしています(※市街化区域とは、「既に市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的かつ計画的に市街化を図るべき区域」をいいます )。


以上のように、農地を誰かに売買したり、農地を転用したりする場合などには、農地法に沿った手続きを踏まなければならないのです。

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米作りの体験を通して感じたこと


ところで、つい先日、私は実際にお米の「種もみ播種」と「伏せ込み」という作業を行ってきました。

種米の入ったケースをひっくり返したり、躓いて田んぼでひっくり返ったりと、農家の方に迷惑をかけっぱなしでしたが、その日は天気が良くて空気も澄んでおり、農家の方の笑顔がとても印象的でした。

今後、田植え時期の前まで、毎日田んぼの水の管理を行う予定とお聞きしました。


そんな中、その農家の方に現在のお米の値段上昇という状況についてお聞きしたところ、「お米を作るには、まず種米を購入し、種もみ播種、伏せ込み、田植え、日々の田んぼの水の管理や草刈り、稲刈り、はぜ掛け、脱穀と、その「米」という漢字のとおり八十八の手間暇がかかる上、精米にするまでに相当の費用もかかっている。

その手間暇やかかった費用を考えると、現在のお米の値段は決して高いとは言い切れないのではないか。」と仰っていました。


直ぐにはお米の値段が下がるとは思えませんが、現在のお米の値段の値上がりという問題だけではなく、今後の日本のお米農家全体を含めた問題を解決すべき時期といえるかもしれません。

執筆弁護士について

弁護士 髙見澤 周吾

髙見澤 周吾(たかみざわ しゅうご)

弁護士法人一新総合法律事務所 
弁護士

出身地:長野県埴科郡坂城町 
出身大学:中央大学大学院法学研究科修士課程修了

2004年に裁判所事務官として採用された後、裁判所書記官、裁判所主任書記官を経て、2024年1月に弁護士登録をした後、長野事務所で勤務。
依頼者の方のお話を親身になって聞き、そのお気持ちに寄り添った解決方法を一緒に模索していきたいと思っています。

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