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2026年7月7日
コラム

駅や路上で、見知らぬ人から突然体当たりをされた――。
そんな体験をしたことがある方は少なくないのではないでしょうか。
近年、駅構内ですれ違いざまに次々と女性に体当たりする男性の動画がSNSで拡散されたことをきっかけに、「ぶつかりおじさん」や「ぶつかり男」という呼び名が広く知られるようになりました。
加害者は男性に限らず、女性による事例もあるようです。
先日も、神奈川県で通学中の小学2年生の女児に故意に体当たりをして転倒させ、怪我を負わせたとして、会社員の男性が傷害の容疑で逮捕されたと報じられました。
このような「ぶつかりおじさん」による行為は、「迷惑行為」や「マナー違反」というレベルにとどまらない問題です。
法律上、故意の体当たりは、刑法上の暴行罪や傷害罪に該当し得る行為であり、れっきとした犯罪として評価される可能性があります。
一般の感覚では、「暴行」と聞くと殴る、蹴るといった行為を思い浮かべる人が多いかもしれません。
しかし、刑法上の暴行はそれよりも広く解釈されています。
「暴行」とは、人の身体に対して不法な有形力を行使することをいいます。
そのため、拳で殴る行為だけでなく、突き飛ばす、物を投げつける、肩や身体を故意にぶつけるといった行為も「暴行」に含まれます。
つまり、駅や路上で見知らぬ人に対し意図的に身体をぶつける行為は、それだけで暴行罪が成立する可能性があるのです。
加害者の中には、「少し肩が当たっただけ」「たいした力ではない」という認識を持つ者もいるかもしれません。
しかし、法律が問題にするのは、他人の身体に故意に有形力を加えたという事実そのものなのです。
さらに、体当たりによって相手が転倒するなどして怪我を負った場合には、傷害罪が成立する可能性があります。
刑法上の「傷害」とは、骨折のような重傷だけを意味するものではありません。
打撲、捻挫、擦り傷など、身体の生理的機能を害するものであれば「傷害」に該当します。
今回報じられた事件では、女児が転倒して負傷したことから、傷害罪の容疑で逮捕されたものとみられます。
故意の体当たりが傷害結果につながったと認定されれば、法的責任はより重いものとなります。
暴行罪と傷害罪の違いは、簡単にいえば「結果として怪我が発生したかどうか」にあります。
たとえ加害者が「怪我をさせるつもりはなかった」と主張したとしても、体当たりという危険な行為から通常予想される結果として怪我が生じたのであれば、傷害罪が成立する余地は十分にあるのです。
いわゆる「ぶつかりおじさん」の問題は、単なる迷惑行為ではありません。
法律上、故意の体当たりは暴行であり、怪我を負わせれば傷害というれっきとした犯罪行為になり得ます。
近年は防犯カメラが普及し、これまで見過ごされていた事案が刑事事件として立件されることも少なくないようです。
万が一被害に遭った場合は、警察に相談するとともに、診断書を取得するなどの証拠保全につとめ、場合によっては弁護士への相談を検討するのも一つの手です。
そして社会全体もまた、「見過ごさない」という姿勢を持つことが、こうした行為の抑止につながるのではないでしょうか。
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