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2020年7月17日
コラム
長野県内の暴力団犯罪の特徴的傾向についてご紹介します。
長野県警のHPに、「暴力団犯罪の特徴的傾向」についての統計資料が掲載されています。
暴力団勢力は減少傾向にあり、令和元年末現在は470人と前年と比較して70名減少しております。
六代目山口組が分裂後、更に神戸山口組が分裂し、任侠山口組が結成されました。
その後同組織は「絆會」に組織名称が変更されています。
令和元年末現在、長野県における暴力団構成比は下記のとおりです。
六代目山口組、神戸山口組、絆會の3団体で県内勢力の約88%を占めており、寡占化が顕著です。
※構成率(%)
|
平成22年 |
平成23年 |
平成24年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
平成28年 |
平成29年 |
平成30年 |
令和元年 |
六代目山口組 |
80.4 |
81.2 |
79.1 |
81.0 |
79.2 |
46.6 |
47.7 |
48.2 |
48.1 |
50.7 |
神戸山口組 |
|
|
|
|
|
32.9 |
37.9 |
37.9 |
6.5 |
3.8 |
絆會 |
|
|
|
|
|
|
|
|
31.5 |
34.4 |
稲川会 |
5.4 |
6.4 |
7.0 |
7.0 |
8.9 |
8.2 |
7.6 |
6.8 |
6.5 |
6.1 |
住吉会 |
4.9 |
5.0 |
5.5 |
4.5 |
4.2 |
4.1 |
2.3 |
2.0 |
1.9 |
0.8 |
その他 |
9.3 |
7.4 |
8.4 |
7.5 |
7.7 |
8.2 |
4.5 |
5.1 |
5.5 |
4.2 |
次に暴力団検挙人員の年別推移です。
平成22年以降の検挙人員は下記のとおりで、最多が平成23年の310人、最少が平成30年の147人です。
令和元年においては162人と、最多であった平成23年と比較するとほぼ半減しています。
特徴は、検挙人員のうち準構成員が約85%を占めていることです。
暴力団対策法や暴力団排除条例の影響などにより、暴力団構成員と準構成員との境目があいまいになっていることを示しています。
直近の令和元年においては、暴力団構成比記載の5団体で全検挙人員の約99%を占めています。
中でも六代目山口組と絆會の2団体の検挙人員が約82%と両団体による二極化が顕著となっています。
|
平成22年 |
平成23年 |
平成24年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
平成28年 |
平成29年 |
平成30年 |
令和元年 |
検挙人員 |
301 |
310 |
259 |
271 |
195 |
164 |
192 |
164 |
147 |
162 |
構成員 |
54 |
41 |
29 |
31 |
32 |
24 |
37 |
31 |
23 |
33 |
準構成員 |
247 |
269 |
230 |
240 |
163 |
140 |
155 |
133 |
124 |
129 |
主要団体人員 |
287 |
288 |
243 |
256 |
185 |
151 |
180 |
161 |
137 |
160 |
<主要団体人員>
平成22年~平成26年 六代目山口組、稲川会、住吉会の3団体
平成27年~平成29年 上記3団体のうち、六代目山口組が神戸山口組に分裂し、4団体
平成30年以降 上記4団体のうち、神戸山口組が任侠山口組(現絆會)に分裂し、5団体
罪種別検挙人員の推移と犯罪の特徴として、同期間における10年間の罪種別検挙人員の平均割合は、暴行・傷害が全体の24.6%、窃盗が22.0%、覚醒剤取締法違反が14.7%、詐欺が9.6%、恐喝が4.4%を占めています。
また、令和元年の罪種別検挙人員は、暴行・傷害が41人(25.3%)、窃盗が34人(21.0%)、覚醒剤取締法違反が22人(13.6%)を占めています。
次に暴力団対策法に基づく行政命令の発出状況です。
公益財団法人長野県暴力追放県民センターのHP、「暴力団の情勢と対策」のページによると、「暴力団対策法に基づく行政命令」について、以下のように説明されております。
平成4年に施行された「暴力団対策法」(「暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律」)は、民事介入暴力など、いままでの法令では対処が困難であった犯罪行為に至らない暴力団員による不当要求行為等を行った指定暴力団員(公安委員会が定めた暴力団)等に対して行政的な措置で規制し(行政命令と言います)、従わない暴力団員に対し懲役や罰金など刑事罰にする暴力団取締の法規なのです。
なお、公益財団法人長野県暴力追放県民センターは、県民や事業者等による自主的な暴力団排除活動への支援や被害の予防に必要な知識の普及、暴力団組織から離脱する意志を有する者に対する援助、相談への対応等の活動を行うことを事業内容としています。
過去10年間に行政命令を発出した件数の合計は65件であり、最多は平成30年の10件、最少は平成29年および令和元年の3件となっています。
|
平成22年 |
平成23年 |
平成24年 |
平成25年 |
平成26年 |
平成27年 |
平成28年 |
平成29年 |
平成30年 |
令和元年 |
行政命令発出件数 |
9 |
9 |
4 |
6 |
7 |
8 |
6 |
3 |
10 |
3 |
平成22年~令和元年の10年間に発出した違反類型別の行政命令発出状況は、下記のとおりです。
違反類型 |
件数 |
||
9条 |
1号 |
人の弱みに付け込む金品等要求行為 |
0 |
2号 |
不当贈与要求行為 |
26 |
|
3号 |
不当下請等要求行為 |
0 |
|
4号 |
みかじめ料要求行為 |
4 |
|
5号 |
用心棒料等要求行為 |
0 |
|
6号 |
高利債権取立行為 |
1 |
|
7号 |
不当債権取立行為 |
1 |
|
8号 |
不当債務免除要求行為 |
1 |
|
9号 |
不当貸付等要求行為 |
1 |
|
10号 |
不当金融商品取引要求行為 |
0 |
|
11号 |
不当自己株式買取等要求行為 |
0 |
|
12号 |
不当預貯金受入要求行為 |
0 |
|
13号 |
不当地上げ行為 |
0 |
|
14号 |
競売等妨害行為 |
0 |
|
15号 |
不当宅地等取引要求行為 |
0 |
|
16号 |
不当宅地貸借要求行為 |
0 |
|
17号 |
不当建設工事要求行為 |
0 |
|
18号 |
不当施設利用要求行為 |
0 |
|
19号 |
不当示談介入行為 |
0 |
|
20号 |
因縁をつけての金品等要求行為 |
0 |
|
21号 |
不当許認可等要求行為 |
0 |
|
22号 |
不当許認可等排除要求行為 |
0 |
|
23号 |
不当入札参加要求行為 |
0 |
|
24号 |
不当入札排除要求行為 |
0 |
|
25号 |
談合入札要求行為 |
0 |
|
26号 |
不当公共工事契約排除要求行為 |
0 |
|
27号 |
不当公共工事下請等あっせん要求行為 |
0 |
|
小計 |
34 |
||
10条 |
2項 |
暴力的要求行為の現場立会援助 |
0 |
16 条 |
1項 |
少年に対する加入の強要・勧誘 |
2 |
少年に対する脱退妨害 |
1 |
||
2項 |
威迫による加入の強要・勧誘 |
9 |
|
威迫による脱退妨害 |
16 |
||
3項 |
密接関係者に対する加入強要・脱退妨害 |
2 |
|
小計 |
30 |
||
30条の5 |
暴力行為の賞揚等の規制 |
1 |
|
計 |
65 |
資金獲得に直結した「暴力的要求行為違反(9条違反)」が34件(52.3%)、人的資源を確保するための「加入強要・脱退妨害違反(16条違反)」が30件(46.2%)を占めています。
同期間において、行政命令を受けた違反行為者を団体別に見ると、六代目山口組が48人(73.8%)、神戸山口組が5人(7.7%)、絆會が6人(9.2%)であり、約91%が山口組系3 団体で占められています。
なお、令和元年に発出した行政命令は、3件です。
最後に、長野県における令和元年の暴力団排除対策についてです。
社会全体での暴力団排除を目的として、平成23年に施行された「長野県暴力団排除条例」について、様々な機会を利用して広報啓発活動の推進により、周知・浸透を図っています。
「長野県暴力団排除条例」には、以下のような内容が規定されています。
・県の事務事業からの暴力団排除
・事業者による暴力団員等への利益供与の禁止
・青少年への教育による加入、被害防止
・祭礼等からの暴力団排除
・暴力団事務所の開設の禁止および開設に繋がる不動産取引の禁止 等
関係機関との連携により、暴力団排除の徹底を図るとともに、各種業界との連携を緊密にして、様々な場面からの暴力団排除を推進しています。
例年開催している暴力追放長野県民大会は、台風19号による災害等諸般の状況により中止となりましたが、民暴研究会を5回開催するなど関係機関の連携を図っています。
以上、今回は長野県内の暴力団犯罪の特徴的傾向についてご紹介いたしましたが、当事務所では、暴力団、暴力団関係者、その他反社会的勢力に属する方からのご相談・ご依頼はお断りさせて頂いておりますので、念のため付言いたします。
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